AERAの紹介記事


AERAの2011年8月8日号で、I.B.KAN館長の西原道雄が、紹介されました。

東京新聞、TBSラジオ、テレビ朝日に続いての紹介です。



2011年8月8日号「AERA」の表紙 ↓




掲載ページ ↓



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⦅ 掲載記事の全文 ⦆


日本の夏は暑い。そこに、福島第一原発事故に伴う「節電要請」だ。

実際の暑さに加え、妙なモヤモヤを感じている人も多いのではないか。

 そんな中、節電と暑さ対策を兼ねた「スマイルカット」なる髪形が登場した。

全国理容生活衛生同業組合連合会(全理連)が発表、

復興への思いを込めて「笑顔の輪を広げるヘアスタイル」の意味で名づけたという。
 
本当に涼しいのか。東京都豊島区で「Halr Llfe lNABA」を経営、

スマイルカットの技術指導も行う稲葉孝博さんにカットをお願いした。
 
「ではまず、サイドと襟足をソフトに刈り上げていきますよ」
 
サイドと襟足を大胆に刈り込む。

同時に首元をクーラーの風が通り抜けた。

確かに涼しい。

 次はトップの部分。

 「すきバサミを使って、短い毛と長い毛を互い違いに作ります」
 
できあがったのは、横はシャープでトップにはふんわりとした毛量感のあるヘアスタイル。

全理連の教育広報課・長岡淳さんによれば、

 「ドライヤーなし、タオルドライだけでサマになるんですよ」

だから「節電」。

確かに、トップの「ふんわり」は自然乾燥だけで再現できた。


冷風の8倍の電力消費

 電力消費で効率が悪いのは、冷やすより温めるほう。

温風ドライヤーはその代表だ。

一般的に1200ワットのドライヤーで温風を7分出すと、
 
「冷風モードの約8倍の電力を消費します」(パナソニック広報)
 
スマイルカットの「モデル」になったのは、1923年の関東大震災後にはやった「震災刈り」だ。

両サイドを坊主頭並みに刈り込み、トップだけを残す。

そのままで七三分けにも見えることから、当時は「活動的で、

震災後の立ち直りや復興を感じさせた」などと言われた。

髪形として定着し、とび職、板前といった業界では定番に。

コメディアンの鳥肌実、EXILEのNAOKIも、よく見れば震災刈りにルーツがありそうだ。

しかし、その名は聞かれなくなり、ベテラン理容技術者の間でも知る人は減っていった。
 
東京・麻布十番の理容室「I.B.KAN」を営む西原道雄さんは、幻のカットの存在を知る1人だ。

「先代店主だった父親の常連さんで、震災刈りのお客さんがいたんです。

毎週同じ髪形を頼む。

「横で見ているうちに、その名前と刈り方を覚えていってね」
 
東日本大震災から1カ月ほどたった4月初旬。

西原さんは仲間と花見をしていた。

話が震災に及んだとき、ふと、口にした。
 
「震災刈りって知ってるか?」
 
仲間は誰一人知らなかった。

甚大な被害を出した震災に、自身が所属する「みなと区理容師会」でも何かできないか。

幻のカットをソフトな現代的アレンジに修正し、復活させた。

その名も「Fukkou」

このカットの売り上げの1割を義援金に回すという。


女性版もあります

くしくも、西原さんが震災刈り復活を思いついたのと、全理連のスマイルカット開発は同時期。

全理連が新カット開発のため会議をした時も、

西原さんと同じように「そういえば……」と震災刈りの話が出たという。
 
スマイルカットには女性版もある。

男性版と同様、トップよりサイドが短いベリーーーショート。

関東大震災当時に女性版はあったのか。

それを確かめる資料は残っていないという。
       
                                         ライター 岡本俊浩



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